元日の夜に/草野大悟2
 
三人と来客三人は、
なんとなく一体感を共有しつつ、お互いの顔をしみじみと眺め、はーあ、大きなため息をつくのだった。
 その時、はーあっ、と、さらに大きなため息が聞こえた。田中ら三人が一斉に同じタイミングでついたため息だった。
 むかっ、とした。なんでこいつらがため息なんかつくんだ。しかも、三人一緒に。
「洋太郎さん。私たちも仕事柄ずいぶんといろんな家庭を拝見してきましたけど、ここまで物事に鈍感な、いや、失礼、物事におおらかな家族は今まで出会ったことはありません。
そういう意味で、私たち、今、非常に感動しています」
「は?」
「感動してるんです!」
 体も髪の毛も薄い男が涙目で言った
[次のページ]
戻る   Point(0)