誕生/Lucy
 
れを知っていたのに
ルシーは私に棲みついた
それはわたしのお気に入りの嘘
あれから私は何回だめになり
何回立ち直ったかしら
ひとりの自分を信じようとして
裏切られ
ひとりのあなたを
信じつづけて 夢の中に戻って行った

夢はない
ルシーはいない
今ははっきり言いきれる
そしてセバスチャン あなたも

老いていく自分を受け入れながら
もう誰にも恋なんかしていない自分を受け入れながら
物語をゆっくり閉じる
とても平凡なエピローグ
家族を愛し
必要とし
特別な才能なんてなくても
ありきたりの日々の暮らしに幸せをみいだし
静かに あなたを忘れましょう
ついで
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