穴は穴ごと穴のまま/はるな
ではなかった、穴は穴ごと、穴のまま、どこかへ失われていった。はじめから無かったようにして。
常にわたしを抱いていた不安はもはや空気のようになって、安心と見分けがつかない。あれもこれも、良いとも思えるし良くないとも思える。わたしはそもそも正しいことがしたかったのです。何が正しいのかを考え、何が自分に必要で、何を欲しているのかを考え、考えることが術でした。でもやっぱりもう上手に考えることができないのです、考える隙のないほど、必然で、重要な行動が増え、そうすると昼はいつの間にか夜になり、夜には眠らなければならない。なぜなら、朝にはまた起きてすべきことがある(はず)なので。わたしの愛は、わたしの体か
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