クラブマリノス/草野大悟2
トチョイスだ、と自信を持って告げた。イリアは、こぼれるような笑顔で倉岡との結婚を決め、僕はイリアへの思いを断ち切ることを涙ながらに決めた。
結婚式の案内状は、マリノスの全スタッフに届いた。
みんなイリアと倉岡を心から祝福したかったし、僕ももちろんみんなと同じ気持ちだった。僕たちが大挙して式場に押しかけることで、イリアがニューハーフであることが露見するのではないか、との危惧が大きな黒雲のように覆い被さっていた。倉岡に電話を入れてそう伝えた。黙って聞いていた倉岡は、「全然かまわないよ」と言って笑った。携帯の向こうに爽やかな笑顔が見えるようだった。
イリアにみんなの心配ごとを話すと、「倉岡
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