現場のへその緒(2)/Giton
 
るのでは、これは読み方のほうに問題があると言わなければなりません。。

そのころ、たまたま手にしたのが、岡澤敏男氏の『賢治歩行詩考』です。
賢治がこの長詩を起草したころの客観的な資料で、作品を“批判”してゆくという手法は、あたかも“唯一の真理”の存在を前提する自然科学の方法を思わせましたが、五里霧中の迷路の中では、むしろひとすじの光が射したように新鮮に思われました。
賢治という作者自身が、自然科学の素養と方法を身につけていて{注=今回、旧・盛岡高等農林学校(現・岩手大学農業教育資料館)も見学して、当時の教育は、農学というより理化学総合とでもいうべく、基礎科学をたいへん重視したものだったこと
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