現場のへその緒(2)/Giton
 
は、たしかに示唆に満ちていたのですが、この2つの境目は、いつも流動的で疑わしく、じきに私は、自分の読みが暗礁に乗り上げていると思うようになりました。

詩は多義的だといいます。作者の意図をも超えて多義的に読まれることにこそ、論説とも創作散文とも異なる詩の生命があるかもしれません。だから、人によって理解が異なるのは、あるていどやむをえないし、むしろ、そうした理解の広がりこそが、作品のはらんでいるものの巨きさを示しているかもしれない‥
しかし、そうは思っても、この場合には気休めになりません。人によって理解が異なる‥どころか、同じ私が、読むたびに、きのう、きょう、あしたと‥理解をまったく異にするの
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