現場のへその緒(1)/Giton
結果、彼は複数回(1922.5.7.,5.21.,etc.)の“詩作歩行”のスケッチ(晴れの日、雨の日、など)を、ひとつの日に起こった事柄としてまとめていることが、判明しました。つまり、「厳密に事実のとほり」ではなかったのです。
また、宮澤家で発見された下書類の対照によって、もとの原稿から出版までに、少なくとも3回の書き直しがあって、内容も大幅に変えられている部分が多いということが、明らかになっています(これは、天沢氏、入沢氏を中心とする探究結果)。つまり、「事実のとほりに記録したもの」ではないのです。
しかし、そうした留保をどれだけ付け加えても、“あの日あの場所で見たこと”の記録──
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