現場のへその緒(1)/Giton
 
──メモをもとに詩が作られていること、いわば、そうした“現場のへその緒”をどこまでも引き摺っているということは、否定しようがないのです。。

抽象的に議論していてもしかたがないので、ここでちょっと例を挙げたいと思います:

「馬車のラツパがきこえてくれば
 ここが一ぺんにスヰツツルになる
 遠くでは鷹がそらを截つてゐるし
 からまつの芽はネクタイピンにほしいくらゐだし
 いま向ふの並樹をくらつと青く走つて行つたのは
 (騎手はわらひ)赤銅の人馬の徽章だ」
    (「小岩井農場・パート三」より)

語の意味に関して注釈が必要なのは、2行目の「スヰツツル」だけでしょう。これは Switzerland つまり、スイスのことです。
ほかには、難しい語はありませんが‥、どうでしょうか、これだけでイメージが湧くでしょうか?‥

((2)に続きます)
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