僕が『小説』を書くきっかけになった、とても小さな出来事 (短編小説)/yamadahifumi
う事をあの二人は教えてくれた。しかし、彼らは何も語らなかったのだ。語らず、そこに存在し続けたからこそ、二人の存在は僕に衝撃を与えた。今の人々はあんまりにもしゃべりすぎる。僕も含めてーーー。
さて、僕はもうここで沈黙しなくてはならない。僕は今、新人賞に出す原稿の推敲中なのだ。この作品が賞を取るかどうかは分からないが、ようやく、僕の主人公も少しずつ様になってきた。それは確かな足取りで地面を歩けるようになってきた。僕はそんな気がする。だから、あるいは今度こそーーー。
いや、そんな風に考える事は僕はやめよう。今はまだ始まったばかりなのだ。そう、全ては今スタートを切った所だ。おそらく、人生
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