(1960?1993)/佐々宝砂
きてゆけるだろう、
俺は光の中で安らぐだろう、
しかし俺がめざすのは安らぎではない。
俺の白くひび割れた背を押すのは放射能 炎 望郷 ともしびの記憶 太陽風
俺を突き動かすのは灼熱の
いや。
認めよう。
俺を突き動かすのは絶対零度の憎しみだ。
俺を置き去りにした奴ら、俺を見捨てた奴ら、
俺を苦しめるものでしかない、
しかし俺自身がそこから生まれた、
冷たい水。
俺は頭がよかった。今もいい。
俺が造ったこの宇宙船を見てくれ、見えないだろうがね。
ヒトの視覚は容易く誤魔化される、
俺の目とは違う。
俺はヒトではない、どうやら、すでに、ヒトではない。
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