【HHM2参加作品】「沈黙」を聞き、「いま」を読む ? 縞田みやぎさんの「春に寄せて」/N.K.
 
そうしたらきみにみせてあげよう、
(中略)
君に見せて上げよう、恐怖を、一握りの土の中に
     (福田陸太郎 森山泰夫注解 同上 ただし、(中略)はN.K.による。)

 「追憶と欲望をかき混ぜ」られて育てられるものは、おそらく、このような帰結を伴うのかもしれない。「恐怖」は原語ではfearである。福島第一原子力発電所の事故のことなど考えさせる部分ではある。それでも、そのことも排除しないままで、東日本の出来事に関わる人々への(語義的には古風かもしれないが)「畏敬」としての意味として、fearを捉えることはできはしないだろうか?土に帰るべき人間が、土に帰る存在だから
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