水の紀/千波 一也
 

いつか、
聞こえてしまう、
いつか、
聞かれてしまう、
いつか、
聞かせてしまう、
どれも、
いつか、
流されてしまう、
あるいは、
流れのなかで、
おそろしい形となって、
知らぬ間に、
なしとげる、



幸せになりたいと思う
それだけは
誤りようのない
事実であると信じたい
だれも皆
幸せになりたいと思う
お互いさまでも
お陰さまでも
すべてを
ひっくるめたうえで
幸せになりたいと思う



命からがら、
水に恩あるものたちが、
水によって、
干からびてしまった日、
おそらく、
良いも悪いもなく、
おそらく、
良い
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