水の紀/千波 一也
良いも悪いもあり、
さらなる渇望が、
しらぬ渇望を、
生んでゆく、
さようならと言おう
きっと
約束の代わりとして
辛辣ならざる真実として
迎えの日を祝うための
身支度として
さようならと言おう
どの
陸地でもいい
海のえがける場所ならば
どの地図上でもいい
その身を
削らずにはおけない温度で
さようならと言おう
音、
ひとつひとつの、
すべての細やかさを覆うようにして、
音が、
始まろうとしている、
奏でるものも、
奏でられるものも、
生きている、
から、
[グループ]
戻る 編 削 Point(4)