水の紀/千波 一也
どちらにせよ
癒しが求められる
優しい
めぐみの
礎としての
羊水のような
温かい始まりが求められる
行方など、
人に尋ねてもわからない、
火の力でも、
風の力でも、
陽の力でも、
行方はわからない、
火でも風でもないものならば、
なにを尋ねるべきか、
それすら、
わからない、
明けない夜はない
それは確かにそうだけど
暮れない日もない
明けては暮れて
救われては
沈み
浮かんでは
閉じ
けっして
一色に染まるばかりが
答ではなかろうに
皆
たやすく歌う
繰り返し繰り返し
もてはやすように歌う
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