ソクラテスのアイロニー/ハァモニィベル
 
ラファルガー広場に到着し出会うのはB級中華。ピカデリー・サーカスを歩いて、靴を脱がない炬燵式のテーブル着けば、運ばれるのは激辛の親子丼。
  美食の街パリを訪ねれば、そこにはチョコのように甘い刺し身がトレビアン。バスティーユの歓楽街で供される、生臭ドス黒まぐろに舌が悶絶。
  魚介料理が得意なイタリアで口直しだと、出会ったイタリア美人おすすめの懐かしいオニギリを頬張れば、にぎられてるのは、酸っぱい酢飯。
  ふざけやがってとシェフを呼び、わけを質せば都市だけ栄え、見捨てられた田舎で餓死を横目に雑草を食い生き延びてきた、国も宗教も捨てた悲しき味覚音痴の中国人コック。ここにも食のチャイナシンドロ
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