降りしきる時の肖像/ハァモニィベル
 

若き日  
本当の愉しみは知らずに過ぎ

PATA―PA―TA―
―TA・・・PA・・
消え残る月をはるか空に見つめて 
われは
今 ここにいる


足下には
  まだ
    横たわり
     枯れぬままの 花束

耳には
  まだ
    体内で響く・・・
       赤い運河の叫び


 己れから本当の愉しみ/歓びを
  奪われ続けた者が座っていた


 己れから本当の愉しみ/歓びを
  奪い続けてきた者が座っていた


 一人の老人が座っていた


消え残る月を見つめて
胸に蝶が羽搏く 
独りの老人が座る公園 

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