北の亡者/Again 2014如月〜皐月/たま
誰も見ていないから
空っぽのブランコが 笑っているけど
やさしい光が 若葉にはねて
も吉の上にふりそそぐ
大地に横たわって その横顔は
元気な草の香りを 楽しんでいるみたいだ
しあわせな風景なのに
おまえの影だけが 足りなかった
(二〇〇一年作品)
※
わたしが現代詩に出会ったのは、たまたま歩いていた道で運よく、十円玉を拾ったようなものだった。もう、三十年も前のこと、所属していた山岳会の年に一度の総会があった建物のロビーの本棚で、偶然、詩の同人誌をみつけて家に持ち帰ったのだ。それで、詩だったら書けるかもしれない、と
[次のページ]
戻る 編 削 Point(25)