北の亡者/Again 2014如月〜皐月/たま
 
たしを追い抜いてゆくけど
気にすることはないんだ 
ほら
北の亡者はいつも
わたしたちの背を見つめている

三月に入って黄砂と
春の雪が街をぐちゃぐちゃに汚して
ようやく春の音を聴いた
も吉はおむつをして
ストーブの入った部屋で眠る
穏やかに眼を閉じて
わたしの知らない夢を見ている



        (二〇〇一年作品)





 おしっこ


眠っていた田畑が
ひとの手を借りて 目を覚ます
田に水が入って 遅い田植えが始まった

も吉のお気に入りの空き地にも 水があふれて
出なくなったおしっこが さらに出なくなる
散歩の途中で ペ
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