されど、死ぬのはいつも他人/藤原 実
 
登録日時 :00/01/17 23:05




      街(神戸より)

     記憶の中の森で
     一羽の鳥が巣立ちする
     遙かな大陸に向かって

     記憶の中の街で
     柔らかい雨が舗道を濡らす
     恋人たちを祝福して

     あの火曜日の朝
     私たちの街は一瞬で崩れ去った
     あの日から
     私たちは記憶の中に生きはじめた

     記憶の中の瓦礫
     記憶の中の残骸

     六
[次のページ]
戻る   Point(7)