されど、死ぬのはいつも他人/藤原 実
 
 六千の死と
     六千の運命の重み
     そのいたましさも
     その悲惨も
     私たちと共にある
     なぜなら
     六千のいたましさも
     六千の悲惨も
     私たちと共に
     同じ記憶の中の街に埋もれている

     あの火曜日の朝
     街は私たちの記憶の形ごと
     一瞬で崩れ去った
     あまりの出来事に
     あまりのあっけなさに
     私たちはむしろ笑うしかなかった
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