啓典の記憶/2012
 
上階、パノプティコンの玉座の脇に、カノープの骨壺が置かれていました。
ソルアスタはカノープの骨壺を抱えて、骨と灰になったカノープに涙を落としました。
そして骨壺の中に、パノプティコンの骨と灰を入れます。
ソルアスタは予め、ソウルフラワーから啓典の再契約についての素養を学んでいました。

啓典とは一体何なのか。
何故再契約をしなければならないのか。
何者との再契約なのか。

ソルアスタはそれらの謎を一身に引き受け、パノプティコンの骨と灰、カノープの骨壺を使いました。
骨と灰は対消滅の光を発しながら掻き消え、骨壺もまた砕け散りました。

数千年の長きに渡る旧契約が終わりを遂げ、
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