ポエム派宣言1「詩のわかりにくさ」/佐々宝砂
と見慣れない文章です。雨は普通ちぎれたりしませんから。こうしたちょっとヘンな組み合わせが、文学にはたくさん登場します。たとえば、
「雨が/幻の楽団を連れてきた」(「登呂」大畑専)
この文章、文法そのものはたいへんマトモです。ひとつひとつの単語も、全然むずかしくありません。「雨が××を連れてきた」という文章自体も、ぎりぎり暗黙の了解を守っています。たとえば「雨が冬を連れてきた」といったら、多少こじゃれた言い回しではありますが、なんかどこかできいたことがあるかもな……という感じです。意味がわからないということはありません。しかしこの場合、雨が連れてくるのは「幻の楽団」です。フツーに読んだの
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