メランコリックマンデー/中山 マキ
昨日まで屋根が崩れ落ちそうな
廃屋があった場所が
今日は空き地になっていた
祖母が住んでいた石川のあの家も
父が建てた仙台のあの家も
今は私たちではない誰かが住んでいる
移り変わりゆくものは
季節ばかりではないこと
思い出という形の中にも
忘れてしまうものもある
東京は何の所縁もない人々が
集まっていて(わたしもそこに含まれて)
しまいには大所帯になって
田舎の過疎化が進むことも頷けます
戻りたくなかった場所も戻りたい場所も
今では見る影もないほど
立派なマンションが建っているかもしれないけれど
戻りたくない場所
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