メランコリックマンデー/中山 マキ
場所も戻りたい場所も
お金をかけてまで行こうとするほど
執着すらないことにいつか気付くのです
ふと、わたしが今ここで何をしているのか
気になっている人はいるのかなと考えて
あの人が今どこで何をしているのかと考えて
それほど正確に
その顔を思い出せる人がいないことに
漠然とした淋しさを思わないわけではないけれど
人は一人では生きられないという偽善と
人は死を選べないという現実を両天秤にかけて
結婚したいと焦っている女友達の電話に
居留守を使うのにも慣れました
答えの出ない恋患いに時間をかける時間がないわたしは
今日も無心で卵白を、泡だて器で混ぜて
せっせとメレンゲを作り
雲のような真っ白な何かを焼いています
その時だけはまるで神様のような気持ちになって
明日はいい天気になるといいなと
そんなことだけを思うのです
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