詩を救うための音楽??榎本櫻湖『増殖する眼球にまたがって』/葉leaf
あるとか、その構造の理論的解釈であるとか、その根源にあるものと鑑賞者の体験との照らし合いであるとか、そういうものをひっくるめて、その芸術的価値は図られねばならない。
そこで、先ほど述べた詩の静的な強度と動的な強度について考えたうえで、現代社会において意味のある作品であるかどうか考慮してみよう。まず、静的な強度について。榎本の詩は、通常の言語の意味を超えた音楽的な意味を作り出すことに成功し、そのような理論的解釈を強く触発するという意味で、静的な強度を備えていることは十分わかったのではないだろうか。では動的な強度はどうだろう。榎本の詩は決してダダやシュルレアリスムの様式的模倣ではない。彼女が自らの
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