詩を救うための音楽??榎本櫻湖『増殖する眼球にまたがって』/葉leaf
 
こうか。そこには、「カーネーション」という俗に美しい言葉から、「刺胞生物」という専門用語、「陰茎」という性的な言葉、「畏怖」という俗には美しくない言葉、と本来だったらそれぞれ異なった種類のテクストに整合的におさめられているはずの語彙たちが一つのテクストの中に集中し互いに腕を組みながらにらみを利かせている。「カーネーション」だったら本来はちょっとした美しい小話に出てくる言葉かもしれない。「刺胞生物」だったら本来は学術論文に出てくる言葉かもしれない。「陰茎」だったら本来は医学的なテクストに出てくる言葉かもしれない。「畏怖」だったら本来は暗澹とした告白に出てくる言葉かもしれない。そのような言葉のまとって
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