ゆびきりげんまん/中山 マキ
宇宙の真ん中で砕けた石が
杉並区を直撃すれば
わたしは死ぬ
だからあなたを救えない
運ばれたキール・ロワイヤルの中に
毒が混ぜてあっても
わたしは見分けがつかない
だからあなたは飲み干してしまう
わたしがあなたに
してあげられることなど
たかがしれている
1人の人間が1人の人間を守るのは
相当難しいことだって
夜のニュースを
真面目に3時間見ているだけで分かる
あなたはわたしをまるで守るかのように
人ごみで手を繋いで
満員電車で抱き寄せて
強い風の前に立ち塞がるけれど
あなたが人々がひれ伏すほどの
ヒーローにな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)