ちくちく/はるな
 
とそういうわたしを体現していたのだと思い、誇らしく、また、吐き気のする。
許すことはそんなにむつかしいことではない。許したいと思えばよい。ただし許したいと思えるかどうかは難しいことだ。それもたいへんに。どうしたらうまく許したいと思えるのかどうか、わたしはたくさんの経験や方法を試みたが、良い術はまだ見つからない。それに日によってもそれは成功したりしなかったりする。
わたしは傷のつくりを太く深いものからだんだんに細く浅いものにして、一日に二回だったものを二日に一回にして、そういうふうにしてだんだんにみためを変えていった。ほかのことについてもだいたい同じだ。じょじょに、少しずつ、からだに染み渡らせて
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