多義性のデザイン(アスパラガスさん讃3)/渡邉建志
 
そして歌がある、そしてわれわれは満たされていく。
重要なのは、満たされたまま「冬を越えたものだけが」で改行しないことだ。
そのままそのスピードで次の三行に流れ込むことだ。


白く貼りつくさ
きみの部屋のカーテンに
白く貼りついて離れないさ
冬を越えたものだけが
ぼくはスケートリンクにとじ込められた
きみの日なた
日なただよ


「冬を越えたもの」はもはやニワトリではなく(だってそもそもニワトリは渡り鳥的には越冬しないじゃないか)
冬を越えていく風のようなスピードのように僕は思う。
そのスピードの風の中に、突然、「とじ込められる」という非動的な動詞が出現し
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