たなかあきみつ詩集『イナシュヴェ』について/葉leaf
 
ゆれる消息をいちずに銀の闇のシンバルにして!
       (「レジェンドにあらず」)

 まず、右の連の内容は、大雑把にいえば「トラックが群れを成している」ということである。ところがたなかがそれを表現しようとすると、そこに様々な知が働いているのがよく分かるだろう。なぜか「指先で撃ちおとされる前に」という奇妙な状況が付加され、「ジュラルミンの隊列」という発見的な認識が付加され、「象のたわんだ鼻のように」という意外な比喩が付加され、「スロースロー」と「スロー」が面白く強調されている。これらの様々な知のひらめきについてはたなか自体もうまく説明できないに違いない。だが、たなかの詩の知的な魅力は、そ
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