二つのソラリスについて/渡邉建志
であり、読んでいる私も「そりゃ狂うよな」と納得させられてしまう。これは貴重な体験であった。
この作品においてレムが戦っていたのは、アメリカ的SFのあり方だった。それは次のようなものだ。
人類にとって謎なもの(宇宙人等)と、人類が遭遇したときに、ありがちなSFのパターンは次の3種類だ、とレムは言う。
1.なんかしらんけどお互い仲良くなる。
2.宇宙人のほうが進んでいた。戦いに敗れる人類。
3.人類のほうが進んでいた。戦いに勝つ人類。
おいおいそれでいいのかよ、というのがレムのつっこみだ。「ソラリス」において、ソラリスの海と人類は、3つのパターンのどれも踏まない。主人公は海
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)