/紅月
ですから、
ね、
あらゆる、
「わたしから飽和するわたしたちよ、
もうここには語るべきことなどありはしないのです、と
語りはじめる卑怯をおびやかしてください、
かなしいほど平たく青い恩赦で
物言わぬ森や、白砂や、
錆びた指先からひらひらと
剥がれ落ちていくえいえんたちの
眠るみぎわを絞殺してください、」
旋回する鳥の、影の、
街、白い渦、から鉄の指が延びて、
空に突き刺さる、文法、が、
あちらこちらに散見される、
(卑怯だ、)
あらゆる、すべての
ふたたび、を、呵責する、
幽霊たちの、ふたたび、の
骨がからからと残響する、
塹壕す
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