背負って生きられるのかね/影山影司
時間になる前にトットは帰ってしまった。二人分の会計は既に済んでいて……トットがこれしかないの、と高額紙幣一枚を置いていった……カミオはしばらく、レストランの椅子にもたれかかったりして、木が軋む音を楽しんだ。
気がつけば、雨が降っている。
やけに暗いな、と思ったら夕立だったようだ。
あっという間に激しくなる雨を見て、カミオは少し考えた。洗濯物と、荷物のことだ。幸い、ここへは財布以外、何も持ってきていない。洗濯物は、干していない。さらにもう少し考える。濡れて帰って、シャワーをあびるのも悪く無いだろう、と。
カミオは店を出た。
遠くで、雷の音がした。
稲光は音よりもずっと強烈
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