背負って生きられるのかね/影山影司
強烈なのに、遠くの雷は音しかしない。だんだん泥沼のような感触になっていくスニーカーを踏み締めて、カミオは家へと急いだ。道中、蓮のような葉っぱを傘にしている人を見つける。赤茶けた鉢を抱えて……もしかしたら、体が濡れないように葉の下に体を隠しているだけかもしれないが……カミオは、それが少し羨ましく感じる。
家につくと、まず風呂場へ爪先立ちで行き、服のままシャワーを浴びた。生ぬるい雨が、冷水で洗い流されるに連れ、服を少しずつ脱いでいく。床に溜まった衣服を、足で踏んで絞りながら、裸になった。トットと会ったのはつい最近だ。時折、彼女がどういう人間なのかを考える。仕事先で出会い……彼女は職場に出入
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