SCHOOL/済谷川蛍
「うん。飲めるよ。少しだけ」
竹中は思った。なぜだろう。今まで、女性とこんなにいい雰囲気になれたことはなかった。
竹中は、立派な経歴や男らしさといった特別な魅力を一切備えていなかった。そんな自分でも、女性と一緒に素敵な時間を過ごすことが出来ている。それは穏やかで気持ちが良かった。
「私がいること、知ってた?」
「全然。意外だった」
「意外……だった?」
「うん。だって沖さん英語出来るし普通にいい会社で働いてると思ってたよ」
「……」
竹中は思わず失言かなと思ってしまった。こんな言い方をすれば、まるでこの学校に帰ってくる人間は人生の落伍者といった風なニュアンスを与え
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