SCHOOL/済谷川蛍
 
をして。すべての世界に背を向けていた。
 チャイムが鳴り、観覧車のイルミネーションに灯りがついた。その姿が夕空に浮かび上がる。深沈たる侘びしさも、大切なものと一緒なら、温かい気持ちに溶かされる。この世界は雑多な人種が好き勝手に群れる世界。居場所がない人種は人気のない場所で暇を持て余し、孤独な心を慰める。竹中は、この少年も自分のように他人と溶けあうことが出来ないのかと将来を悲観しながらやるせない気持ちで別れた。

 放課後

 竹中は沖との待ち合わせの10分前にベンチに座って、腕時計を確認した。彼女はまだ見当たらない。観覧車を見上げると、夏のまだ明るい夜空をバックにゆっくりとゴンドラを回し
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