岸田劉生「写実論」を読み解いて考える、批評とは何か/中川達矢
その唯物的な臭みから全く救われる」p.93
「心をもって心を見、心をもって心を描き出す域である」p.93
劉生はいとも簡単に、心をもって心を見るべきだとのべている。やはり答えになっていない答えであるような印象を受ける。「心をもって心を見たまえ」と言われたとしても、実際にはどのようにすればいいのか、そうした過程を説明することはしていない。むしろ、それはできないことなのであろう。なぜなら、それは無形であることだからだ。無形であるものを言語という形を纏って表した結果が、劉生なりのこういう言い回しになったのだろう。
ここまで来れば、劉生の重要な議論をさらったはずである。後は、重要な箇所だと
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