黒薔薇/ヒヤシンス
 

今夜もまた私の血液を机上の黒い薔薇に注ぐ。
私は時々赤を見るのが無性に嫌になる。
他人の鮮血も、この机上の赤い薔薇も。
だから私はそういう時、この薔薇の赤い花弁を自分の濁った血液で汚すのだ。

このところ毎晩続く発熱を少しでも和らげようと、私は行為に走る。
その行為が意識的であろうが無意識的であろうが気にしない。
そもそも人間の意識なんてあてにはならないものだ。
それでも行為の前にひれ伏す意識など見たくない。見たくはないのだ。

絶えず訪れる春の嵐のように私の頭は混乱する。究極の矛盾。
日々は、その意識を意識して徒に過ぎてゆく。
もしそれすら感じ取れなくなってしまったら
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