黒薔薇/ヒヤシンス
たら私はどうなってしまうのだろう。
飴細工のガラスを端からこの拳で砕いてゆくのだろうか。
狂った道化に興味は無いのだ。偽物の瞳などその奥を覗けばすぐ分かる。
けれどもしその瞳の奥に何も映っていなかったら?・・私は恐ろしい。
見誤りまた同じ事を繰り返すだろう。・・・恐ろしい事だ。
この世の夢や希望を信ずるこの心は戸惑いもせずに反転してしまうかもしれない。
行為で汚された机上の薔薇が月明かりを受けてギラリと光っている。
戦慄の黒い薔薇は刻一刻と私自身と重なってゆく。
微熱を伴う頭痛に促され、私は黒薔薇の花弁を一枚ずつ千切りながら冷たい舌に乗せ、
ゴクリという確実な音と共に一気に飲み込む。私の夢や希望を取り戻す為に・・・。
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