動物園(2)/Lucy
縦も横も奥行きも高さもほぼ等身大と言っていい
その鋼鉄の檻のなかでは
曝し物の自身の姿にいら立っていた
というよりは
朝も昼も真夜中も一瞬たりとも休むことなく
出口を探し続けることであり問い続ける事であり拒み続けることであった
というよりはむしろ単なる不適応であり錯乱であった
外界のいっさいから拒否され黙殺されていた
しかし同時にその時こそ
あらん限りわたしは希求していたそれを
生きるということを
ワラビー
私はこの極めて低い木の柵を飛び越える跳躍の技能持ちながら、あえてそれを行使しない。飛び越えてみたところで、そこに何ひとつ新しい世界の開けない事
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