しゅみ/阿ト理恵
くの共通のともだちに聞いた、その日はぼくの誕生日、どうしてきみがぼくの誕生日を知ったか知らないが、その日ぼくの4畳半の寮に、むらさきのスターチスが両手で抱えきれないほど届いた、飾るところに困り、部屋をななめに渡してある登山用ロープに、洗濯物を干すように花を下に向けて並べた、
きみが結婚式をしているホテルへ向かった、その時ぼくはなにを着ていたのだろう、外は霧雨、ホテルは山の上、ぽんこつダットラは暗い昼を、さまよい走った、どこをどう迷ったのか、気がついたら山の反対側の海にでていた、どぶねずみ色のテトラポットをみていたら、なんだか笑ってしまった
そのあと、きみは遠くへ行っ
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