彼と彼女とワインの夜/石田とわ
女はさらに饒舌になり、つくりもしないおせちやお雑煮に
ついてあれこれを語り、今年は自分もおせちをつくると息巻いてみせる。
話はどんどん大きくなりそれに合わせワインはどんどん吸収されていき
あっという間に一本空いてしまった。
それが合図であるかのように彼女は急に無口になる。
「ごちそうさま」
そういって席をたつと今度は「ジン」を持ってソファに座り
彼が本を読む姿を離れたところから眺め、静かにそしてゆっくりと
グラスを傾ける。
しばらく彼と最近のスーパー事情と年末の買い出しはどこに行くかなどを
話し、ふと彼女をみると案の定寝てしまっている。
声をかけ
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