彼と彼女と綿ぼこり/石田とわ
 
ゃばしゃと水を使う音が聴こえたと思ったらドライヤーの音がする。
          
          
「おかえりなさい」
          
彼女はとびきりの笑顔で彼を出迎える。
黒のロングスカートにニット。
ふんわりウェーブがかかっている髪が肩先で揺れている。
          

「ただいま」
         
その声に彼女を慈しむ優しい響きがあるように思うのは
わたしの焼きもちだろうか。
彼は彼女がいつもぼさぼさ頭でいるのも知っている。
それに普段家にいるときはずっと寝まきのままなのも。

          
彼を出迎えるために着替える彼女。
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