ブリキの森と紙の古城とウルサい湖畔の魔法/木屋 亞万
ワーを完成させた。積み上げることでコップの文句が合わさって、愚痴の大合唱となっていたが、私とリスが頂のコップにコーラとサイダーを注ぎ始めると少しずつ声は勢いを失い始めた。
一番上のコップはすぐに満たされ、あふれ出た液体がコップを伝いその下のコップへと注がれる。下の段へ行くほどに時間はかかったが、次第に文句は小さくなっていき、最下層に炭酸水が届くころには泡の弾ける爽やかな音だけが辺りに響いた。
「うまく行ったようだね」と丸くなった月を持った男の子が現れて、空に放り投げると太陽は上のほうへ弾き飛ばされて、世界はすっかり夜になった。「おかげさまで」と私は答えた。すぐに蒸発してしまうので手を休める
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