眠れる森の/月乃助
{引用=
春は、阿修羅の使い
むごたらしく やすらかな眠りをさまたげる
*
誰もが
ぬくもりの休息の時に、永遠をしらず
蠢きだす
けして生けるものだけでなく
天空も 川瀬も あの雉の鳴き声さえ
厳しさはどれも叱咤され あわい春色にそめあげられる、
私の心に宿っていた ちいさな種さえも
「「 雪解けのやわらかな陽だまり
木の室から今しがた這いでた
二匹の蛇が、交わっていた
我慢できずに 細い
しなやかな枝で それを打った
ちいさなスイッチの 指のうごきが
すべての明かりを 生みだすように
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