背中を見せた夢/まーつん
によるものだと、根拠もなしに確信した…が、細く、だがゆっくりと血溜まりを広げつつあった。
僕は、なぜか後ろめたい気分になった。彼女の死が自分に起因すると…過去に言ったか、するかした何かが原因だという、そんな苦い悟りがあった。同時に、今、彼女の死に左程の痛みを覚えていない自分自身への後ろめたさも感じていた。
…そして目が覚めた…
忘れたくないのは、この夢の居心地がとてもよかったこと。葦を編んだ簾の隙間から斜めに刺してくる、熟れた果汁のように濃厚な黄金色をした午後の陽光、日差しに暖められた湿度の高い空気が、じっとりと半裸の身体を包み込む、気だるい温もり、そして彼女の身体の、心地
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