背中を見せた夢/まーつん
しつけてくるペン先の感覚。不思議と冷たさが感じられないのは、僕の感覚が麻痺しているせいだろう、という気がした。
やがて彼女は僕の背中に自分の身体を重ねて、口づけをしてきた、そう、丁度ペン先で黒く塗りつぶしたあたりに。彼女は小柄だった…少なくとも僕よりは。この夢については、そのことを、やけに強く意識している。僕にとって、それは大切なことらしい。親しい女の身体が、常に自分のそれより、少し小ぶりであることが。
彼女の身体の重さは、心地よく、その唇の感触は…言葉にするのが難しい。性的な興奮を喚起する一歩手前の親密さで、僕のうなじを柔らかく擦っていた。熱くもなく、冷たくもなく、そこに溺れて
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