背中を見せた夢/まーつん
 
 忘れたくない類の夢、というのがあって、今朝、目覚める前にも、そんな夢の1つを通り過ぎてきた。ちょうど窓の外に夜明けが忍び寄り、地の底から蒼い光が茫洋と浮かび上がってきた頃のこと。

…夢の中で…、

…僕はうつ伏していた。寝台の上…だが、竹か葦のような素材を編んで出来たものだったと思う。くたびれた白いランニングにトランクスという格好で、うっすらと汗をかいた体の筋肉には、心地よい疲れが染みこんでいた。何らかの肉体労働をした直後らしく、休息を取っている。背後に気配があり、どうやら親しい間柄の女性が、薄着姿で立っている。二人がいる部屋は、やはり竹か葦かを編み込んだすだれのようなもので四方を囲っ
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