【HHM参加作品】エロい詩(感想文と妄らな空想)/木屋 亞万
の営みの末に、この世に抛り捨てられたひとつのボタンに過ぎないのだということを痛感したのではないだろうか。海という言葉が母親を象徴しているならば、その波打ち際に落ちていたボタンというのは、やはり赤子であり、自分自身である。その境遇を捨て切れず、けれど何かに役立てられるわけでも無く、捨てられるようにこの世に生まれ落ちてなお、命を袂に入れるようにして生きているという姿勢。そのことを「ボタンを拾った私」という主体を通して語っているのだ。
「『月夜の浜辺』は青姦の詩である」というと、「ハァ?」と中也ファンの皆様に睨まれてしまいそうであるが、「『月夜の浜辺』は眠れない夜に浜辺を散歩する孤独な人間が青姦後のボ
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