ある夢のお話し(エッセイ)/Lucy
れていたものとは何だったのだろう。
今市子という作家の「百鬼夜行抄」というコミックのことを思い出しました。あの中に出てくるような、妖怪だったのかもしれない。妖怪だろうと、魔物だろうと、それが我が子の顔をしていると言うだけで、私は簡単に騙される。絶対に騙されると言うことを、確信しないわけにはいきませんでした。
それにしてもあの暗がりのぼんやりと浮かんだまるい灯りの中で、泣いていた二人の泣き顔が頭に焼き付いて離れない。「さびしかったの?おかあさんといっしょに帰ろうね」だなんて、そんな言葉が自分の口から出たことが信じられない。おそらく寂しいのは自分なのだ。私が囚われているのは盲目の母性であり、幼
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